2025.1.20

Chapter1  スノーホワイト・トーキョー

華やかな大都会・東京で、誰からも愛される「白雪姫」と呼ばれる少女がいた。白く柔らかい肌、艶やかな黒髪、人懐っこい笑顔。裕福な家庭に育ち、やりたいことは何でもできる毎日。彼女は鏡に映る自分の姿が何より大好きだった。「鏡よ鏡、世界で一番可愛いのはだあれ?」「私に決まってるでしょ!」――完璧に愛され、完璧に幸福な日々。しかし、それは「今」ではなく、飾られた「過去」の物語だった。

時は流れ、白雪姫は50歳になった。今はただの「ホワイト」。彼女は老いと向き合えずにいた。皺、シミ、クマ、白髪――現れる老化の兆候に怯え、SNSで見つけた高額な美容品を次々と買い漁るが、効果はなく、むしろ症状は悪化する。親に泣きつくが「もう大人なんだから」と断られ、借金だけが膨れ上がる。「若くて綺麗だったからこそ愛されたのに…」彼女は過去にしがみつく。

ある日、差出人不明の小さな箱が届く。箱には「春」と書かれ、中からは懐かしい香りが漂う。それは儚く消え、ホワイトはその香りを追い求めるようになる。三度目の配達で、配達人の男と共に現れた一人の少女が彼女を「おばちゃん」と呼ぶ。戦慄するホワイト。さらに少女は「白雪姫は、私だよ」と言い放つ。

配達人は「あの子の心臓を食べれば若さが蘇る」と残酷な方法を囁く。葛藤の末、ホワイトは鏡の力を借りて魔法の林檎を手に入れる。ところが再訪した少女も林檎を持参しており、二人は「せーの」で同時に林檎をかじってしまう。次の瞬間、ホワイトの体は老婆へと変貌。鏡は告げる。「君たちが食べたのはお互いの心臓――あの子は君の過去を、君はあの子の未来を食べたのだ」と。少女こそ、かつての自分自身だったのだ。

「互いに、今を捨てた」――気づいたホワイトは、初めて部屋の大きな窓に目を向ける。雪が静かに降る空を見上げ、「大切なものは、今、ここにある」と呟く。震える手で黒髪のウィッグを外し、白髪交じりの本当の自分を受け入れる。「全部、私のお気に入り」。翌朝、見事に晴れ渡った空。窓を開けると、春の香りがした。

配達人の男が白い花束を届ける。二人は手を繋ぎ、湖へと歩き出す。これは過去でも未来でもない、「今」の物語。年季の入った肌、艶やかな白髪、人懐っこい笑顔――どこをとっても愛らしく、誰からも好かれ、愛されている「今」の彼女が、そこにいる。


You are the One~Chapter1~『Snow White TOKYO』

2025年1月26日(日)19:00(開場18:15)
公演時間:約90分(本編:60分・トークイベント:30分)
チケット料金:5500円(1drinkとお菓子代・税込)
定員:40名様

脚本・演出・作画/中井由梨子
音楽/河谷萌奈美
振付/sahoooN.
CG/武内哲郎
音響/鈴木彰

キャスト:石川薫(鏡/男たち)/中井由梨子(ホワイト)/特別出演:吉田雛子(白雪姫)

声の出演:石川薫/青木彩/石井彩友美/咲貴/藍川ゆとり

主題歌『かわいいわたし
作曲:河谷萌奈美
作詞:中井由梨子
歌:吉田雛子・咲貴

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