2026.6.30
STORY
You are the One chapter5 AURORA
雪降り積むノースランド王国。
王女オーロラは、幼い頃から母にこう言われて育った。
「もっと良い子になりなさい」
父は跡継ぎの王子を望み、彼女に目を向けようとはしなかった。
「姫など、国の役には立たぬ」
——7歳で聞いたその言葉を胸に、オーロラはただただ良い子を演じ続けた。誰にも迷惑をかけず、誰の手も煩わせず——愛されたくて、愛された くて、それでも愛されずに。
17歳の冬、彼女は理由のない病に倒れ、そのまま息を引き取った。
目を覚ますと、そこは色のない死後の世界。
門番の少女ゾラに導かれ、オーロラは死の図書館で自らの人生の記録を読む。 短く、満たされず、愛を求め続けて終わった、たった一冊の物語。 そして彼女は知る——自分が生きていれば出会っていたはずの運命の人の存在を。
南の隣国エーデルラントの王子、フィリップ。 彼はオーロラが死んだ後、彼女の墓を訪れ、生涯その机に見知らぬ少女の横顔を置き続けた——会ったことのない人のことを、心のどこかで待ち続けていたのだ。
「わたしは——愛されるために生まれ変わるんじゃない。 わたしが、彼を愛するために生まれ変わるんだ」
すべての記憶を抱いたまま、オーロラは輪廻の輪へと歩み出す。 家柄も、身分も、富も——何ひとつ持たずに。
ただ、彼をもう一度見つけるために。
待つプリンセスは、もう終わりにする。
「あなた」を見つけにいく。
